2022年版 いますぐ始めたいBCP対策!非常用電源の重要性とBCP対策の基礎知識
2022年版 いますぐ始めたいBCP対策!非常用電源の重要性とBCP対策の基礎知識
2004年の新潟県中越沖地震や、2011年の東日本大震災のような自然災害の発生によって注目され始めたBCP対策(事業継続計画)。自然災害やあらゆる緊急事態から、事業や従業員を守る対策が企業には求められています。
自然災害などが原因で経営が破綻する企業が存在するのは事実であり、緊急事態による影響を最小限に抑えための対策を講じることが重要です。今回は、BCP対策の基礎知識やBCP対策に適した非常用電源などを紹介します。今後あらゆる企業にとって必要な存在となる、BCP対策について考えていきましょう。
BCP対策(事業継続計画)とは?
BCP(事業継続計画)対策とは、Business Continuity Planの略で「事業継続計画」を意味する言葉です。台風や地震といった自然災害やシステムエラーなどの緊急事態が発生した際に、事業への損害を最小限にとどめ、企業の中核となる事業を継続・復旧させる対策を指しています。
近年では、自社で新型コロナウイルスのクラスターが発生してしまった場合の対策についても、BCP対策の重要な項目の1つとして考えられています。
BCP策定は2024年に義務化される?
2021年度の介護報酬改定により、全ての介護事業者に業務継続計画の策定を義務付けることが決まりました。3年間の経過措置があり、義務化は2024年度からとなっています。
ただし、義務化されるのは介護施設・事業所のみとなっており、その他の企業ではBCP策定が2024年に義務化されるわけではありません。よって、一般企業にBCP策定を義務づけるような法律はなく、それぞれの企業の判断に委ねられている状況です。
しかし、BCPを導入する企業は緩やかではあるものの、年々増加しています。自然災害やその他の緊急事態から従業員・事業を守るためにも、多くの企業で計画やマニュアルを整備していこうという流れになっていることは事実です。
BCP対策と防災対策の違い
BCP対策は、防災対策とは異なるポイントがいくつかあります。防災対策は、地震や洪水といった自然災害のみが対象となり、人命や建物などの固定資産の維持が目的となっています。
BCPは自然災害の他にもあらゆる非常時が対象で、停電やテロ、感染症の蔓延やリコールなど、さまざまなリスクへの対策を講じます。初動対応は人命が最優先ですが、事業を継続することが重要な目的となっているのが特徴です。
防災対策は自社のみを対象としていますが、BCPは取引先企業への被害を最小限に抑えるように計画していくのもポイントです。
BCP対策の3つの目的
BCP対策を検討する際は、どのような目的があるのかを把握することが大切です。ここでは「緊急時に迅速に対応」「企業価値を高める」「経営戦略を見直す」という3つの目的と、中小企業こそBCP対策を考えるべき理由を説明していきます。
緊急時に迅速に対応
BCP対策によって、緊急事態が起こった場合でも迅速かつ的確に対応することができます。緊急時の対策が定まっていない場合、多大な損害が発生することで、復旧まで多くの時間を要してしまうことが考えられます。
損害を最小限に抑えるためにも、緊急時の対応をあらかじめ決めておくことは、事業を守り続けるための重要なポイントです。
企業価値を高める
BCP対策によって、企業価値が高まることも考えられます。緊急事態に陥った場合でも迅速に対応できる企業は、取引先として信頼される傾向にあります。災害が発生した場合、自社が直接的に多大な被害を受けることだけではなく「取引先の事業がストップしてしまわないか」ということも警戒しなければなりません。
緊急時の対策が万全であれば、取引先として「安定している」というイメージに繋げることが可能であり、企業価値を高めることができます。
経営戦略を見直す
BCPでは優先すべき中核事業を絞り込み、どの事業から復旧させるべきなのかを検討します。そのため、改めて重要な事業を把握することができるのも特徴です。BCPの策定は、結果的に自社を細かく分析することにもなるため、経営戦略を見直すのに有用な手段です。
中小企業こそBCP対策を考えるべき理由
大企業と比較して、中小企業の方がBCP策定率は低いというのが現状です。しかし、中小企業こそBCP対策を考えるべきで、中小企業のBCP策定率が今後どれだけ上がるのかが注目されています。
BCP対策は緊急事態が発生した際に、企業の倒産や事業縮小のリスクを下げることが可能です。中小企業は大企業と比較して、緊急事態によって事業活動を停止することが、倒産や事業縮小に直結しやすいといえます。
また、BCP対策の存在が、仕入れ先や取引先としても信頼を獲得しやすい傾向にあります。企業価値を高めたいと考える中小企業にとっては、BCP対策を講じることが重要な分岐点となる可能性は十分です。
BCP対策に適した非常用電源
停電に備えた非常用電源の導入が再注目されています。病院や介護施設では、医療機器が停止することは多くの人命を失ってしまう危険性があり、猛暑が続く状況下では空調設備が停止したことによって、熱中症になってしまったという事例も見られます。
その他にも、通信手段を確保するためには電源が必要になるため、停電対策は必須です。ここでは、BCP対策に適した非常用電源を紹介していきます。
緊急時に電力を確保する非常用発電装置(BCP発電装置)
緊急時に契約電力が停電した際、電力供給が完全停止しないように、病院・介護施設・工場などさまざまな建物に導入されているのが非常用発電機(自家発電設備)です。地震や台風などで停電になった場合、非常用発電機に切り替えて電力を供給します。
非常用発電機などの防災用自家発電設備は、電気事業法、建築基準法、消防法によって点検と報告が義務付けられており、定期的なメンテナンスが必要となるのも特徴です。
太陽光発電システムで電力の自給自足
太陽光発電システムは、近年大きな注目を集めている環境に優しいエネルギーであり、太陽の光によって電気を発電します。事業場の屋根などのスペースを利用して設置することが可能で、燃料を必要としないため長期的に電力を確保できるのが特徴です。
ただし、太陽が出ていない状況では発電できないシステムであり、天候に左右されてしまう部分はあります。そのため、近年では太陽光発電システムの不安要素を補うために、蓄電池と組み合わせて導入する方法が注目されています。
太陽光発電システムと組み合わせて活躍する蓄電池
停電から短時間使用するだけであれば、蓄電池単体でも十分に活躍が期待できます。しかし、長時間の停電では電気を使い切ってしまう可能性が考えられるため、近年は太陽光発電システムと蓄電池を併用する企業が増加しています。
昼間に発電した電気を蓄電することで、安定した電力供給を実現し、太陽光発電システムによって長時間の停電にも対応することが可能です。
いつ発生するかわからない非常事態に備えてBCP対策を!
自然災害や新型コロナウイルスのような感染症の蔓延は、今後どのようなタイミングで発生するのかわかりません。いつ緊急事態が発生しても事業を継続できるように、事前に対策を練ることが必要不可欠な時代になってきています。大切な従業員や事業の継続を高めるために、BCP対策について今から取り組んでいきましょう。